神戸地方裁判所 昭和59年(わ)1118号 判決
本籍
兵庫県加東郡社町松尾一七五番地
住居
右同所
原糸卸売会社経営
藤原敏男
大正七年二月一三日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、検察官青木捷一郎出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、兵庫県西脇市南本町一〇四〇番地において原糸の卸売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、左記いずれの年度分についても、簿外在庫商品を隠匿してその導入による架空仕入及びその他の方法による架空仕入ならびに架空経費を計上するなどし、さらに第三事実の昭和五八年度分については、右簿外在庫商品隠匿にともない、商品たな卸高を期首におけるものよりも期末におけるものについて大量に除外するなどして、各年度分の所得の一部をそれぞれ秘匿したうえ、
第一 昭和五六年分の所得金額は五〇、八三三、二三二円で、これに対する所得税額が二三、四〇八、九〇〇円であるのに、昭和五七年三月一五日、兵庫県西脇市西脇字後町七七一番一一八号所在の西脇税務署において、同税務署長に対し、右五六年分の所得金額は一七、〇一一、二二四円で、これに対する所得税額は五、四九〇、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の所得税一七、九一八、九〇〇円を免れ、
第二 昭和五七年分の所得金額は六四、七四四、六〇三円で、これに対する所得税額が三三、五四二、四〇〇円であるのに、昭和五八年三月一四日、前記西脇税務署において、同税務署長に対し、右五七年分の所得金額は一六、三六三、六五〇円で、これに対する所得税額は五、一六五、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の所得税二八、三七六、九〇〇円を免れ、
第三 昭和五八年分の所得金額は一〇七、〇〇一、六二八円で、これに対する所得税額は六四、九二〇、二〇〇円であるのに、昭和五九年三月一四日、前記西脇税務署において、同税務署長に対し、右五八年分の所得金額は二〇、八〇三、九七五円で、これに対する所得税額は七、三八七、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の所得税五七、五三二、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
全事実に共通して、
一 本件公判調書中検察官請求分の証拠等関係カードに記載された、番号2ないし56の標目を引用する。
二 右のほかに被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
各罰条 所得税法二三八条一項、二項(いずれの事実の罪についても懲役及び罰金(その多額は二項による。)を併科する。)
併合罪 刑法四五条前段
懲役につき
刑法四七条、一〇条(重い第三の罪の刑に法定の加重をする。)
罰金につき
刑法四八条二項
労役場留置 刑法一八条
執行猶予(懲役刑について)
刑法二五条一項一号
(裁判官 岡本健)